adhara’s blog

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水素様原子のエネルギースペクトル解法(その4)〜 因数分解による方法 〜

数回に分けて、水素様原子に対する(非相対論的)束縛状態エネルギースペクトル
 {\displaystyle
E_n = - \frac{1}{2n^2}\frac{m_e}{\hbar^2}\left(\frac{Ze^2}{4\pi\epsilon_0} \right)^2
}
を求めるための8通りの解法を紹介する予定である。

  1. E. Schrödingerによる波動方程式解法(ラゲール陪多項式を用いる)
  2. W. Pauliによるso(4)代数を用いる解法
  3. su(1,1)代数を用いた解法
  4. 因数分解を用いた解法
  5. V. Fockによる運動量表示を用いた解法
  6. E. Schrödinger、P. S. Epstein、I. Wallerらによる波動方程式解法(放物線座標表示の解)
  7. Kustaanheimo-Stiefel 変換を用いた解法
  8. 経路積分を用いる方法

今回はその4の因数分解を用いた解法を紹介する。
因数分解(factorization)を用いた方法は歴史的にはE. Schrödingerが創出した方法であるが、P. A. M. DiracやH. Weylによる示唆もあった。
L. Infeld, T. E. Hull (1951)によって体系的にまとめられた方法である。

本記事は以下のような構成になっている。

  1. 動径部分に関する方程式導出
  2. 昇降演算子の導入
  3. 昇降演算子の働き
  4. エネルギースペクトルの導出

昇降演算子の導入は天下り式に行っている。導出方法については別の機会にに紹介する。
なお、本記事はJ. Oscar Rosas-Ortiz著の "On the factorization method in quantum mechanics" を参考にして書いている。


まとめ

本記事で紹介した手法は、異なる角運動量量子数を持つにもかかわらずエネルギーが同じ状態(偶然縮退とよばれる)が昇降演算子によって結びつくことを利用した解法である。
これはsu(1,1)代数による方法が同じ角運動量量子数間の状態間がsu(1,1)の同じ既約表現に属していることと対照的である。
すなわち二つの手法は方程式に内在する、相異なる対称性を利用している。
このことは、問題の背後にはさらに大きな対称性が潜んでいることを示唆している。
今後、これらの点が明らかになる記事を書く。

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