ケプラー問題と力学的対称性(その1)~運動の第一積分~

いくつかの記事を使って古典力学における力学的対称性について論じるつもりである。
今回はケプラー問題における力学的対称性についての記事の第一弾である。
本記事では、ケプラー問題における第一運動の積分、すなわち保存量について論じる。

古くから知られているようにケプラー問題に限らず、球対称ポテンシャル下では、角運動量が保存される。
このベクトルの方向が保存されるということは、運動する面が一定であるということである。
ケプラー問題のように1/rに比例するポテンシャル下では、エネルギーや角運動量の他に別の量もまた運動の第一積分となる。
それがLaplace-Runge-Lenz(LRL)ベクトルである。
このベクトルは角運動量ベクトルと直交している定ベクトルである。

本記事の構成は以下のようになっている。

  1. LRLベクトルの天下り的導入
  2. ハミルトン形式の解析力学の基礎
  3. 角運動量ベクトルとLRLベクトルの保存則
  4. LRLベクトルの大きさ
  5. LRLベクトルが運動する面内にあること
  6. LRLベクトルと離心率の関係

保存則についてはSchiffの量子力学の教科書Fradkinの論文、離心率についてはLandau-Lifshitzの力学の教科書を主に参照した。

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まとめと今後の展望

本記事ではケプラー問題における運動の第一積分であるLRLベクトルの性質について論じた。
次の記事では、LRLベクトル・角運動量ベクトルの成分間のポアソンブラケット演算の計算ノートをアップロードする。

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