超球面上の球面調和関数(その2)〜 帯球関数とゲーゲンバウアー多項式 〜

本記事では球面調和関数を具体的に表すための特殊関数であるGegenbauer(ゲーゲンバウアー)多項式について説明する。
Gegenbauer多項式は球面調和関数のうち、{\textstyle  SO(D) } の固定部分群によって固定される特別な関数である帯球関数(Zonal Spherical Function)を具体的に表すために用いられる。

以前の記事、

adhara.hatenadiary.jp
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では超球面上のLaplacian(Laplace-Beltrami演算子)の固有関数としての球面調和関数を紹介していた。
すなわち、D次元空間中の超球面 {\textstyle  S^{D-1}} においては、

{\displaystyle
\Delta_{S^{D-1}} Y_{n\alpha} = -n(n+D-2) Y_{n\alpha}
}

が成立し、球面調和関数 {\textstyle Y_{n\alpha} }Laplace-Beltrami演算子の固有関数となっていることを(特段の理論背景なしに)書いていた。
さらに、k次の球面調和関数がなす部分関数空間の次元が
 {\displaystyle
{}_{D+k-1} C_{D-1} -  {}_{D+k-3} C_{D-1}
}
となることも書いていた。

本記事は以下の構成になっている。

  1. Laplace-Beltrami演算子
  2. SO(D)の作用(表現論のさわり)
  3. 球面調和関数と帯球関数
  4. ゲーゲンバウアー多項式

極座標・回転群・SL(2,R) - 九州大学大学院数理学研究院というノートを主に参考にした。
単位超球面上の帯球関数とGegenbauer 多項式.pdf - Google ドライブ


まとめと今後の展望

本記事では帯球関数がGegenbauer(ゲーゲンバウアー)多項式によって書かれることを示した。

今回の記事の続編としてはSO(D)群の表現論を展開したいと考えている。(表現論のさわりは書いたつもりだが)

ゲーゲンバウア–多項式自体の性質については他の記事でも紹介して行こうと考えている。(積分表示、漸化式、ロドリゲスの公式等)
またゲーゲンバウアー多項式を含む特殊関数の一大カテゴリーである超幾何多項式についても取り扱いたい。

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