水素様原子のエネルギースペクトル解法(その3)〜 su(1,1)代数を使うヴァージョン 〜

数回に分けて、水素様原子に対する(非相対論的)束縛状態エネルギースペクトル
 {\displaystyle
E_n = - \frac{1}{2n^2}\frac{m_e}{\hbar^2}\left(\frac{Ze^2}{4\pi\epsilon_0} \right)^2
}
を求めるための8通りの解法を紹介する予定である。

  1. E. Schrödingerによる波動方程式解法(ラゲール陪多項式を用いる)
  2. W. Pauliによるso(4)代数を用いる解法
  3. su(1,1)代数を用いた解法
  4. 因数分解を用いた解法
  5. V. Fockによる運動量表示を用いた解法
  6. E. Schrödinger、P. S. Epstein、I. Wallerらによる波動方程式解法(放物線座標表示の解)
  7. Kustaanheimo-Stiefel 変換を用いた解法
  8. 経路積分を用いる方法

今回はその3である、su(1,1)代数を使った解法を紹介する。
su(1,1)代数がなぜ出てくるかというと、固有関数の動径部分がsu(1,1)の既約表現と関連が深い形をしているからである。

本記事は以下のような構成になっている。

  1. 動径部分に関する方程式導出
  2. su(1,1)代数の導入
  3. su(1,1)代数を用いた二階微分方程式解法
  4. 解法のシュレディンガー方程式への適用

su(1,1)については必要事項のみを簡単に書いているが、機会があれば詳しいまとめ記事を作成しようと考えている。
なお、本記事はMarcel Novaes: "Some basics of su(1; 1)", Revista Brasileira de Ensino de Fisica, v. 26, n. 4, p. 351 - 357, (2004). を参考にしている。
su(1,1)代数を使った水素様原子に対するシュレディンガー方程式の解法.pdf - Google ドライブ


まとめ

水素様原子に対するエネルギースペクトルのエネルギースペクトルをsu(1,1)代数を用いて導出した。
この解法が通用する理由は、固有関数の動径部分がsu(1,1)代数の既約表現と関連が深い形をしているからである。

リファレンス

*1:別タイプのsu(1,1)解法が書いてある。本質的には本記事で紹介したものと同じ。

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