超球面上の球面調和関数(その1)〜 球面調和解析 〜
以前の記事、
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では超球面上のLaplacian(Laplace-Beltrami演算子)の固有関数としての球面調和関数を紹介していた。
すなわち、D次元空間中の超球面 においては、
が成立し、球面調和関数 がLaplace-Beltrami演算子の固有関数となっていることを(特段の理論背景なしに)書いていた。
さらに、k次の球面調和関数がなす部分関数空間の次元が
となることも書いていた。
これらの事実の理論的背景については、色々な教科書(リー群や調和解析、フーリエ解析の本)に詳しく、またネット上で手に入る文献(たとえば、三重大山本さんの修士論文やNotes on Spherical Harmonics and Linear Representations of Lie Groupsなどが詳しい)も多くある。
本記事では以前の記事であまり書いていなかった理屈や未定義事項を補完する目的で簡単なまとめ(辞書的な扱いをしていただきたい)を書く。
Laplace演算子(Laplacian)とLaplace-Beltrami演算子(Laplace-Beltramian)
D次元におけるLaplacianは
で与えられる。
という極座標変換を導入すると、
のように動径部分と角度(超球面)部分に分解することが可能である。
角度部分が超球面上のLaplacian、あるいはLaplace-Beltramianと呼ばれるものである。
このLaplace-Beltramian は漸化式
を用いて求めることが可能である。
同次(斉次)多項式と調和関数、球面調和関数
調和関数
調和関数は のうち、ラプラス方程式
を満たす要素の集合である。
これは、部分空間を成す。
調和関数の集合としての関数空間を
と書く。
証明を省くが、線形空間における直交分解
が成立し、
となる。
球面調和関数
球面調和関数は 上の関数である調和関数をその内部空間である 上の関数に制限したものである。
これらの集合を
とする。
と は線形代数同型であり、要するに次元は一致する。
まとめと今後の展望
本記事では以前の記事であまり書いていなかった理屈や未定義事項を補完する目的で簡単なまとめ(辞書的な扱いをしていただきたい)を書いた。
さらに機会があれば、リー群、リー代数を用いた理解についても書こうと思う。
リファレンス
- Laplace operator - Wikipedia
- Laplace–Beltrami operator - Wikipedia
- Polar coordinate system - Wikipedia
- Spherical harmonics - Wikipedia
- Stone–Weierstrass theorem - Wikipedia
- 三重大山本さんの修士論文
- The Lie theory approach to special functions
- Notes on Spherical Harmonics and Linear Representations of Lie Groups
- 新・フーリエ解析と関数解析学 新井 仁之 (著)
- フーリエ解析の展望 (すうがくぶっくす) 岡本 清郷 (著)
- 等質空間上の解析学―リー群論的方法による序説 (1980年) (紀伊国屋数学叢書〈19〉) 岡本 清郷 (著)