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adhara’s blog

数理物理に関する記事を書きます。 https://twitter.com/adhara_mathphys

水素様原子のエネルギースペクトル解法(その2)〜 so(4)代数を用いる解法 〜

Laplace-Runge-Lenzベクトル 水素様原子 量子力学 中心力ポテンシャル リー代数 シュレディンガー方程式

数回に分けて、水素様原子に対する(非相対論的)束縛状態エネルギースペクトル
 {\displaystyle
E_n = - \frac{1}{2n^2}\frac{m_e}{\hbar^2}\left(\frac{Ze^2}{4\pi\epsilon_0} \right)^2
}
を求めるための7通りの解法を紹介する予定である。

  1. E. Schrödingerによる波動方程式解法(ラゲール陪多項式を用いる)
  2. W. Pauliによるso(4)代数を用いる解法
  3. su(1,1)代数を用いた解法
  4. 因数分解を用いた解法
  5. V. Fockによる運動量表示を用いた解法
  6. E. Schrödinger、P. S. Epstein、I. Wallerらによる波動方程式解法(放物線座標表示の解)
  7. 経路積分を用いる方法

本記事では、その2のPauliによるso(4)代数を用いる解法を紹介する。
規格化したLRLベクトルと角運動量ベクトルの各成分を基底としたso(4)代数構造に着目して、問題を解く試みである。so(4)代数の特徴はsu(2)代数の直和に分解できることであり、ほぼsu(2)代数の知識で解けてしまうところに手法の簡便さがある。

本手法の創設は、W. Pauli, Z. Physik. 36 (1926) 336. であり、手法の解釈について、V. Fock, Z. Physik. 98 (1935) 145. やV. Bargmann, Z. Physik. 99 (1936) 576. らの貢献がある。

この記事を書くにあたり、Schiffの本ウィキペディア、そして国場敦夫の日本語記事を大いに参考にしたので特筆しておく。
また、準備記事として、その1その2その3をすでに書いている。


記事の構成は以下のようになっている。

  1. 問題設定
  2. 準備
  3. so(4)代数の導入
  4. so(4)代数を用いた解法

まとめ

so(4)代数を利用した水素様原子のエネルギースペクトル解法を紹介した。
この手法を通じて水素原子におけるエネルギー縮退の理由が、球対称性を超えた高度な対称性の存在が垣間見られる。
今後、su(1,1)代数を用いた解法因数分解を用いた解法等の他手法と合わせて再解釈を行い、より高度な代数構造に迫る記事を書く予定である。

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