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adhara’s blog

数理物理に関する記事を書きます。 https://twitter.com/adhara_mathphys

【図解】Pauliのso(4)代数を用いた水素様原子エネルギースペクトル解法について

Laplace-Runge-Lenzベクトル シュレディンガー方程式 リー代数 中心力ポテンシャル 図解 水素様原子 量子力学

本記事では、so(4)代数を用いた水素様原子に対するエネルギースペクトル解法(Pauliの方法)の図解を行う。
上記解法の詳細については以前の記事、
adhara.hatenadiary.jp
を参照して欲しい。

Pauliの方法は、規格化したLaplace-Runge-Lenz(LRL)ベクトルと角運動量ベクトルの各成分を基底としたso(4)代数構造に着目したものである。
so(4)代数の特徴はsu(2)代数の直和に分解できることであり、このことが簡便な解法を可能にしている。

スライドの構成は、1〜6枚目が解法の簡単なレビュー、7,8枚目が解法の図解である。
7枚目ではso(4)代数の既約表現としてエネルギー縮退した状態たちがどのように表されているかを示している。
8枚目ではso(4)の既約表現空間であるところの縮退した状態空間から、どのように角運動量量子数で特徴付けられるso(3)代数の既約表現に分解されるかを図示している。(いわゆる、角運動量の合成の手法を用いている。)


まとめと今後の展望

本記事では、so(4)代数を用いた水素様原子に対するエネルギースペクトル解法の図解を行った。
本方法はLRLベクトルがハミルトニアンと可換であること、LRLベクトルと角運動量ベクトルの各成分がso(4)代数の基底となることを利用している。
その結果、角運動量保存則に基づく縮退を超えた高度な縮退が生まれているのである。

量子力学へのLRLベクトルの応用はPauliの功績であるが、LRLベクトル自体はその名前にLaplaceが冠せられているように、古くより知られていた概念である。
すなわち、古典力学におけるケプラーの問題を解釈するために考えられていた概念である。
古典力学でもやはりLRLベクトルは保存量であり、軌道の保存に役割を果たすと解釈されている。
軌道の保存という現象は実は著しいものであり、中心力ポテンシャルの問題ではクーロンポテンシャルのときや調和振動子ポテンシャルのような特別な場合に限られることが知られている。(Bertrandの定理)
これらの現象を含めた力学系におけるの保存則を研究する分野として、超可積分系というものがある。
本ブログでは超可積分系的な理解についても取り上げるつもりである。

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