adhara’s blog

数理物理に関する記事を書きます。 https://twitter.com/adhara_mathphys

エルミート多項式をラゲール関数で書く。

エルミート(Hermite)多項式をラゲール(Laguerre)関数で書き換える、ということを行う。

合流型超幾何関数を用いたラゲール関数の定義

この記事においてラゲール関数はラゲール陪多項式に出てくる指数を非整数に拡張したものを意味するものとする。
指数が非整数となるラゲール関数はもはや多項式にはならないので、以前紹介した母関数やロドリゲス表示によって定義することは叶わない。
定義としては第一種合流型超幾何関数(例えばこちらを参照)を採用するのが良いと考えられる。(上記のラゲールの陪微分方程式を満たすことが示される)
すなわち、

{
\begin{align}
L^k_n(x) = \frac{(k+1)_n}{n!} M(-n,k+1;x)
\end{align}
}

で定義される。(ここでは {n}自然数{k} は非整数でも良い。ただし {n} を非整数とするさらなる拡張も可能である。)
ここで第一種合流型超幾何関数は、

{
\begin{align}
M(a,b,x) = \sum_{l=0}^\infty \frac{(a)_l}{(b)_l} \frac{x^l}{l!}
\end{align}
}

で定義される。({ {}_1 F_1 (a;b;x) } と書くこともある。)
しばしば出てくるポッホハマー記号 { (a)_n} は特殊関数の文脈では

{
\begin{align}
(a)_n = \prod_{l=0}^{n-1}(a+l)=a\cdot(a+1)\cdots (a+n-1)
\end{align}
}

で定義される。(組み合わせ論の文脈では異なる定義となっているので注意。)

このとき、ラゲール関数はラゲールの陪微分方程式

{
\begin{align}
x\frac{d^2L_n^k}{dx^2}+(k+1-x)\frac{dL_n^k}{dx}+nL_n^k(x)=0
\end{align}
}

の解となっていることがわかる。

エルミート多項式の定義と諸性質

エルミート多項式をここでは母関数を用いて定義する。
すなわち、

{
\begin{align}
g(x,t) = e^{-t^2+2tx} = \sum_{n=0}^\infty H_n(x) \frac{t^n}{n!}
\end{align}
}

でエルミート多項式たち {H_n(x)} を定義する。

このとき、{g(x,t)}{n}{t} 微分して {t=0} を代入することにより、ロドリゲス表示

{
\begin{align}
H_n(x) = (-1)^{n}e^{x^2}\frac{d^n}{dx^n}e^{-x^2}
\end{align}
}

を得る。

また、{g(x,t)}{x} 微分することにより関係式

{
\begin{align}
H_{n}'(x) = 2nH_{n-1}(x)
\end{align}
}

を得る。

さらに、{g(x,t)}{t} 微分することにより関係式

{
\begin{align}
H_{n+1}(x) = -2nH_{n-1}(x) + 2xH_n(x)
\end{align}
}

を得る。

上の二つの関係式を合わせることにより、エルミートの微分方程式

{
\begin{align}
H_n''(x) - 2x H_n'(x) + 2n H_n(x) = 0
\end{align}
}

を得る。

エルミート多項式をラゲール関数で書く。

まず、{x\ge0} とする。
{x^2=t} の変数変換を行うと、{\frac{d}{dx} = 2t^{\frac12}\frac{d}{dt} }{\frac{d^2}{dx^2} = 2\frac{d}{dt} + 4t\frac{d^2}{dt^2} }となることから、エルミートの微分方程式

{
t \frac{d^2}{dt^2} H_n + \left( \frac12 - t \right) \frac{d}{dt}H_n + \frac{n}{2} H_n = 0
}

となる。

また、{ H_n(x) = xT_n(x^2) } と置いて同様に {x^2=t} の変数変換を行うと、

{
t \frac{d^2}{dt^2} T_n + \left( \frac32 - t \right) \frac{d}{dt}T_n + \frac{n-1}{2} T_n = 0
}

となる。

ラゲールの陪微分方程式と見比べると、偶数次のエルミート多項式については一つ目の変数変換微分方程式を参照することにより、

{
H_{2n}(x) \propto L^{-\frac12}_n (x^2)
}

となることがわかる。
奇数次のエルミート多項式については二つ目の変数変換微分方程式を参照することにより、

{
H_{2n+1}(x) \propto xL^{\frac12}_n (x^2)
}

となることがわかる。
エルミート多項式の偶奇性より、{x\ge0} でも同じ表式であることがわかる。

エルミート多項式の第一種合流型超幾何関数による表示

ラゲール陪多項式の第一種合流型超幾何関数による表示と見比べることで、エルミート多項式も第一種合流型超幾何関数を用いて表示することができる

偶数次については

{
H_{2n}(x) = (-1)^n \frac{(2n)!}{n!} M\left(-n,\frac12 ,x^2\right)
}

となり、奇数次については

{
H_{2n+1}(x) = (-1)^n \frac{2(2n+1)!}{n!} x\ M\left(-n,\frac32 ,x^2\right)
}

となる。

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