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adhara’s blog

数理物理に関する記事を書きます。 https://twitter.com/adhara_mathphys

水素様原子のエネルギースペクトル解法(その1)〜 Schrödingerによるラゲール陪多項式を用いた波動方程式解法 〜

量子力学 特殊関数 シュレディンガー方程式 中心力ポテンシャル 水素様原子

数回に分けて、水素様原子に対する(非相対論的)束縛状態エネルギースペクトル
 {\displaystyle
E_n = - \frac{1}{2n^2}\frac{m_e}{\hbar^2}\left(\frac{Ze^2}{4\pi\epsilon_0} \right)^2
}
を求めるための7通りの解法を紹介する予定である。

  1. E. Schrödingerによる波動方程式解法(ラゲール陪多項式を用いる)
  2. W. Pauliによるso(4)代数を用いる解法
  3. su(1,1)代数を用いた解法
  4. 因数分解を用いた解法
  5. V. Fockによる運動量表示を用いた解法
  6. E. Schrödinger、P. S. Epstein、I. Wallerらによる波動方程式解法(放物線座標表示の解)
  7. 経路積分を用いる方法

本記事では、その1のE. Schrödingerによるラゲール陪多項式を用いた波動方程式解法を紹介する。
量子力学量子化学の授業で扱われることが多く、また大抵の教科書には記載されており、最も有名な解法だと思われる。
本手法は電子波動関数を直接求めていることを特徴とし、電子密度分布を計算できる等の利点を持つ。
分子軌道計算やコーン・シャム軌道計算では、ガウス型やスレーター型といった原子基底関数が用いられるが、これらの原子基底関数は水素型の波動関数を参考にして作られている。
原子基底関数は、物性値を精度良く効率よく計算できるように作られている。

波動関係とエネルギースペクトルを求めるために、以前の記事で導入したラゲール陪多項式の性質を用いる。

規格化された球座標表示の波動関数は球面調和関数やラゲール陪多項式を用いて、
 {\displaystyle
\Psi_{nlm}(r,\theta,\phi) =c_l e^{-\alpha_n r/2}(\alpha_n r)^{l}L_{n-l-1}^{2l+1}(\alpha_n r) Y_{lm}(\theta,\phi)
}
のように求まる。
ただし、
 {\displaystyle
\alpha_n =\frac{m_e e^2}{\hbar^2}\frac{Z}{n}
}
であり、
 {\displaystyle
c_l = \sqrt{\alpha_n^3 \frac{(n-l-1)!}{2n(n+l)!} }
}
である。

nは主量子数、lは角運動量量子数、mは磁気量子数である。
エネルギーは主量子数によって定まり、
 {\displaystyle
E_n = - \frac{1}{2n^2}\frac{m_e}{\hbar^2}\left(\frac{Ze^2}{4\pi\epsilon_0} \right)^2
}
となる。


まとめ

E. Schrödingerによるラゲール陪多項式を用いた波動方程式解法を紹介した。
非整数次や負数次のラゲール陪多項式に関する記述について、完全ではない部分があるので補完する記事をいずれ書こうと考えている。

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